労働問題(労使問題)

労働者と使用者(会社・事業主)との間には数多くの問題(労働問題)が起こります。国(厚生労働省)の労働相談窓口(総合労働相談コーナー等に寄せられた相談内容をみてみると、退職に関することやパワハラなどのハラスメントに関することが目につきます。そして民事上の問題の場合、相談した方の8割強が労働者側(雇われる側)でした。(厚生労働省令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況より)
労働者からの相談が圧倒的に多いという現実は、労働者側が弱い立場に立たされがちなことを示しているといえましょう。当サイトでは働く側、雇われる側である労働者目線に立ってサポートいたします。

会社との労働問題の種類と内容

働く側(労働者)と雇う側(会社・使用者・事業主)との労働問題は、大きく

  1. 話し合いで解決すべき問題(民事上の問題)
  2. 労働基準法などの労働法の規定に基づき行政を頼るべき問題

の2つに分けることができます。

話し合いで解決すべき労働問題(いわゆる民事)

上記でご案内した目につく相談内容である「退職に関すること」「ハラスメントに関すること」は、いずれもまずは話しあいで解決すべき民事的な内容です。つまり労働問題は、この後ご案内する、行政を頼ることによって解決すべき内容ばかりではないことであり、そのことを知っておくことはとても大切です。ちなみに行政に相談しても無駄という意味合いではありません。ただこの種の問題は、労働基準法に罰則規定がないために行政機関ができることに限りがあるといった意味合いです。

退職にまつわる労働問題

①退職の種類

雇用契約の途中での退職(労働契約の終了)は、主に3つに分けられます。

  1. 合意退職
  2. 辞職(働く側から一方的に意思表示)
  3. 解雇(雇う側から一方的に意思表示) 

※辞職と解雇は両者の意思が一致していないことがポイントです。
問題になりやすいのは「解雇」です。

辞職について

相手(会社側)の意思関係なく、自分(労働者側)の意思のみで労働(雇用)契約の解除が成立する

「相手の同意を必要としない」

辞職の例その1

就業規則に、「退職したい場合は、○か月前に所定の用紙に記入のうえ提出すること」などと書かれている場合
⇒「会社側が合意した場合」などの文言がない限り、これはいわゆる「辞職」といえる

辞職の例その2

民法627条の規定に則って退職する場合

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

辞職の例その3

法律の規定上、「○○の場合、ただちに労働契約を解除できる」といった文言がある場合

例)労働基準法第15条第2項
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除する
 ことができる。

辞職なら意味合いとしては、退職「届」

•労働者側が一方的な意思表示をしたうえで、それが相手(会社)側に伝わればOKであり、相手側の同意は必要としないので、「願い出る」という性質のものではないため
•あくまで字面の話であり、実務上は「退職届」でも「退職願」でもどちらでもかまいません

②解雇

労働者側の意思に反して、会社側から「一方的に」労働契約の解除を通知されることであり、「退職」の一類型です。

解雇はまず労働基準法に定めがあり、その条件を充たす必要があります。
例えば上記にある通り、いわゆる「解雇予告手当」を規定どおり支払わないと、労働基準法上の「解雇」は成立しません。

解雇予告手当:解雇予告をする際支払う手当で、即日解雇する場合は、イメージとして30日分の賃金相当の解雇予告手当を支払う必要がある。逆に30日後以降の解雇を予告するのであれば、解雇予告手当を支払う必要はありません。

ほか、解雇が無効といえるケース

【労働基準法】
①業務上災害のため療養中の期間とその後の30日間の解雇
②産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇
③労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇

【男女雇用機会均等法】
④労働者の性別を理由とする解雇
⑤女性労働者が結婚・妊娠・出産・産前産後の休業をしたことなどを理由とする解雇

【育児・介護休業法】
⑥労働者が育児・介護休業などを申し出たこと、又は育児
・介護休業などをしたことを理由とする解雇

労働基準法第20条
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

ただし、
無効ではない場合、今度は労働契約法の中に解雇の有効無効を判断するための基準が定められており、それに基づき考えます。

労働契約法第16条
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

一般的に解雇は、

  1. 普通解雇 
  2. 整理解雇 
  3. 懲戒解雇

の3つに分類されますが、種類ごとの判例を判断基準として、最終的には裁判で解雇の有効性は判断されます。

①普通解雇 著しい能力不足、勤怠が悪い等
②整理解雇 使用者が、不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に人員削減のために行うもの
③懲戒解雇 懲戒事由に該当する行為を行い、その結果として行われる処分 

①普通解雇
勤務成績が著しくよくない(いわゆる能力不足)
・著しい素行不良
・著しい勤怠不良 など
最も一般的な解雇事由です。

②整理解雇
使用者が、不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に人員削減のために行う解雇(使用者側の事由による)

整理解雇の4要素に基づき総合的に判断される
①人員削減の必要性
人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること
②解雇回避の努力
配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと
③人選の合理性
整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること
④解雇手続の妥当性
労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法に
ついて納得を得るために説明を行うこと

③懲戒解雇
企業の懲戒処分の一種類
・当然非常に重い処分であるがゆえに慎重な運用が求められる
・就業規則上にあらかじめ規定されている必要

懲戒解雇は認められないが、普通解雇として認められるということはありうる

もし、解雇に納得できなかったら、基本「争う」ことになる。

①解雇の撤回をあくまで求めるケース
②条件闘争に入るケース
(退職金を積み増してくれれば退職に同意するなど)
⇒民事上の争いになる
解雇予告手当などの要件を満たしていれば、労働基準法上ただちに問題はなく、労働基準監督署では何もできない

争う前の準備

まずいわゆる「退職証明書」を請求(労働基準法第22条)

第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなけ
ればならない。

争う主な手段

① 会社側と弁護士をつけて交渉する
② 公的な和解手段を活用する(あっせん)
③ 民事裁判を起こす(労働審判含む)

解雇と退職届

解雇は一方的に会社から労働契約を解除する行為、
退職届は、社員側が退職しますと出す届書のこと。一見矛盾を感じます。

解雇と退職金

解雇だからといって退職金が支給されないわけではありませんが、懲戒解雇の場合、退職金を全額支給しないという規定を定めている会社は割と多くあります。ただ、懲戒解雇ですら、裁判で争われた際、全額不支給が否定されたケースもあり、必ずしも、賃金規定通りに従う必要はなく、争ってもよいケースといえます。

③退職勧奨

自分の意思で退職することを勧められることであり、要は「お願い」です。形としては合意退職となり、解雇など会社都合の形をとると会社側に不利な点も多いためよく用いられる手法です。退職勧奨自体は(常識の範囲内であれば)全く問題ないのですが、労働者側に応じる義務もありません。
しかしながら、この退職勧奨を「解雇」と受け取ってしまう方が多くいらっしゃるのも事実です。

会社)○○さん、退職してほしい
社員)ええ、わかりました。

基本的に前の事例と似ていますが、今回は、明らかに会社側の雇用契約解除の提案に対し、社員側が「同意」しているといえます。これは「解雇」ではなく「合意退職」となります。

ただし、これを「解雇された」と主張する場合がとても多いのが実情です。

退職勧奨に対する対処法

会社)○○さん、退職してほしい
社員)いやです(とキッパリ拒否)
※表現はいろいろだが、不同意という意思表示をすること

ただ、この場合、会社側が「解雇」に切り替える場合がある。
その場合も「解雇」に「同意」してはならない。

さらに、

もし納得いかなければ、まずいわゆる「退職証明書」を請求(労働基準法第22条)

第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなけ
ればならない。

④雇止め

契約期間がはじめから決まっている有期雇用契約は、本来その期間内のみで終わる契約ですが、それでも働く側が更新を希望した場合、雇う側が断った場合を指します(いわゆる会社都合となります)。
事実として、何度も契約更新を繰り返し、長く働き続けている場合があります。そのような方を守るため、労働契約法の中に、雇止めの有効無効の判断基準が定められており、解雇同様判例を判断基準として、最終的には裁判で雇止めの有効性は判断されます。

雇止めは、別にただちに違法ではありません。有期雇用契約は、原則的には、契約期間満了となれば「当然に」終了するものだからです。契約期間満了の一類型が「雇止め」ということになります。

ただし・・・
3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続勤務している人については、契約を更新しない場合、使用者は30日前までに予告しなければならない(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準)というルールはあります。

労働契約法第19条

それまでに裁判などで出された判決で固まっていた「雇止め法理」を条文化したものです。

第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

⇒雇止めを無効とする場合を規定した条文

労働契約法第19条第1項第1号

 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

⇒実質無期

労働契約法第19条第1項第2号

 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

⇒合理的期待

解雇と雇止めの相違点

【同じ点】
働く人(労働者)側と会社(使用者)側の意思が不一致
労働者)働きたい 使用者)辞めてほしい

【違う点】
解雇:契約期間中途で一方的に解除すること
雇止め:契約期間満了時に契約を更新しないこと

雇止めと言われたら

もし納得いかなければ、まずいわゆる「雇止め通知書」を請求(一定の前提条件あり)してください

(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準 )

第三条 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求 したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由につい て証明書を請求した
ときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。


(参考)【雇止めがなくなる】無期転換申込権とは何か

無期転換申込権とは

労働契約法第18条に規定されている

第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件とする。

更新されてきた有期雇用契約が通算5年を超えた場合

【例】
1回め2年 2回め2年 3回め2年
→3回めで通算5年を超える

その5年を超えた契約期間中に「無期転換申込権」を行使すれば、その契約が満了した段階で、自動的に無期契約が新たに締結

【上記例】
3回めの契約中に「申し込み」3回めの契約満了時に自動的に無期契約が締結

【最近起きていること】
この法の精神を受入れ、かつ人材確保の観点からも、無期転換し、無期契約社員を数多く発生させた企業もあるが、一方、5年を超えなければ無期転換申込権は発生しないため、通算5年ちょうどで「雇止め」するケースも目立ってきている

【例】
2年、2年と契約してきたのに、次の契約を1年限りとし、次の更新はしないと告げるケース→この「雇止め」が妥当かどうか争われるケースが増えてきている(労働契約法第19条)

⑤退職させてくれない

コロナ禍前の好景気だった頃、よくこうしたご相談を受けました。本来社内ルールにのっとって「辞職」の手続きをとればよい話ですが、現実的にそう簡単にはいかない場合もあります。

⑥解雇理由と退職金の支給・不支給

退職金の3つの位置づけ

退職金には3つの法的性格があると言われている

①生活保障
②賃金後払い
功労報償
※特に②と③

3つの解雇

①普通解雇
②整理解雇
③懲戒解雇

今回問題となるのは「③懲戒解雇」の場合
懲戒解雇=退職金不支給とする企業が多いが、それは妥当なのか

退職金の位置づけとの兼ね合い

生活保障・賃金後払い→懲戒解雇でも支払うべき
功労報償→懲戒解雇なら支払う必要はない という解釈

裁判例(小田急電鉄事件)の主旨

会社規定は、退職金が功労報償的性格を持つ前提だが、退職金は、生活保障、賃金の後払い的性格も有する
当該企業の場合、給与および勤続年数を基準とする規則になっていることは、その要素を補強する
これを不支給とするには永年の功を抹消するほどの重大な背信行為が必要だが、この件(業務外で痴漢)はそこまでとはいえない。ただし、鉄道会社社員であることも考慮し、本来の3割支給が妥当

◆参考

ほか裁判例などもみていくと、非違行為が、業務上か業務外かで判断が分かれる傾向
業務上だと、退職金不支給が支持されている例も多い

問題解決に向けて

特に解雇・雇止めは、まず法令などの決まりに沿って労使間の話し合いで解決することが望ましいです。しかし、話し合いでは解決できず、それでも泣き寝入りしたくない、自分の希望と隔たりがあるといった場合には、最終的には裁判で解決をはかることになります。しかし裁判は時間も費用もかかります。そこで「あっせん」という制度が設けられています。実際、退職に関する問題の多くは金銭で解決されており、あっせんの活用は検討する価値があります。

また「あっせん」の前に、行政(労働局)から会社に対し、事情を聴いたうえで法令に照らし合わせて解決の方向を示す、文字通り「助言指導」などをする仕組みがあります。実際これで問題が解決される場合が数多くあります。

あっせんとは

あっせんとは、個別労働関係紛争解決促進法などに定めのある、話しあいにより労働者側と使用者側との労働問題を解決に導くための制度です(ADRの一種)。各都道府県にある労働局(厚生労働省の一機関)や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーが窓口です。また都道府県や社会保険労務士会でも、労働局とは別にあっせんを行っている場合があります。運用ルールについては、実施組織によって少しずつ異なります。

画像は厚生労働省公式ウェブサイトより引用

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/index.html

労働条件の不利益変更について

労働条件の変更(原則)

労働者側・使用者側(会社側)両者の同意がなければ、労働条件は変更できない

◆労働契約法第8条
第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

労働条件の不利益変更(原則)

次に、労働条件を、就業規則の変更により、労働者側に不利益に変更する場合、使用者側(会社側)は、労働者側と合意する必要がある

◆労働契約法第9条
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条(第10条)の場合は、この限りでない。

労働条件の不利益変更(例外)

労働契約法第10条に規定される各要素を満たせば、労働者側の同意なく、使用者側は、労働条件を労働者の不利益に変更することは可能

◆労働契約法第10条
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする

労働契約法第10条は最高裁判例を基として制定されている

第四銀行事件(平成9年2月28日判決)

【内容】定年55歳を60歳に延長した際にともなう諸条件

 ①変更後就業規則を労働者に周知させ、かつ、
 ②不利益の程度
 ③変更の必要性
 ④内容の相当性
 ⑤労働組合等との交渉の状況
 ⑥その他の就業規則の変更に係る事情
→以上の各要素に照らして合理的なものであること

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメント(パワハラ)ということばは世の中に定着した感がありますが、つい最近まで法的にはパワハラの定義はなく「いわゆるパワハラ」といった表現がつかわれていました。2020年に労働施策総合推進法が施行され、初めてパワハラの法的定義ができました。
それまでも民法の規定などを用いてパワハラかそうでないか司法判断されてきており、またつかわれてきた要件などに大きな変更はありません(3つの要素・6つの類型)。ちなみに罰則はありませんが、この法律ができたことにより、労災の認定基準に影響を与えたり、会社にパワハラ対策が義務付けされるなどの変化はすでに起きています。

パワハラの3要素

パワハラということばは一般的にも浸透したかと思いますが、労働分野におけるパワハラとは、
職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、労働分野におけるパワハラには該当しません。

①優越的な関係を背景とした言動

当該事業主の業務を遂行するにあたって、当該言動を受ける労働者が、行為者に対して抵抗、または拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景に行われるもの

<例>
・職務上の地位が上位の者による言動
・同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

パワハラは、上司・先輩からとは限らないというのがポイントです。

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないもの

<例>
・業務上明らかに必要性のない言動
・業務の目的を大きく逸脱した言動
・業務を遂行するための手段として不適当な言動
・当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動

③労働者の就業環境が害されるもの

当該言動により、労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じること

この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当とされています。

パワハラの6類型

パワハラには以下の6種類があるとされ、パワハラの6類型と呼ばれています。

①身体的な攻撃
②精神的な攻撃
③人間関係からの切り離し
④過大な要求
⑤過小な要求
⑥個の侵害

①身体的な攻撃
蹴ったり、殴ったり、体に危害を加える

②精神的な攻撃
人格を否定するような言動を行う。必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。他の労働者の前で、大声で威圧的な叱責を繰り返し行う。
→これが非常に多く相談を受けるケースです。

③人間関係からの切り離し
特定の労働者を仕事から外し、長時間別室に隔離する。1人の労働者に対し、同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる

④過大な要求
新入社員に必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し、厳しく叱責する。業務とは関係のない私用な雑用の処理を強制的に行わせる。

⑤過小な要求
管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。気に入らない労働者に対する嫌がらせのために仕事を与えない。

⑥個の侵害
労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする。労働者の機微な個人情報について、本人の了解を得ずに他の労働者に暴露する

【参考】パワハラに当たらないと考えられる例

・誤ってぶつかる
・ 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること
・ その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること
・新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施すること
・ 懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること
・労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること
・業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること
・労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること
・労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと
・労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと

カスタマーハラスメント(カスハラ)

カスタマーハラスメントとは

法的に、明確な定義はない(とされていた)

現在では「顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為」とされるが、企業や業界により、顧客などへの対応方法・基準が異なることが想定されるため、明確に定義できない(厚生労働省)

◆広い意味ではパワハラの一種

 いわゆるパワハラ防止法に基づく指針では、顧客からの著しい迷惑行為に対して、労働者を守るよう示されている

2022年、厚労省は、

カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成

その中での定義は、

「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」

ほか、このマニュアル内には、

社会通念上不相当となりうる言動等の例が示されている

カスタマーハラスメントと労災

2023年9月精神障害の労災認定基準改正

業務による「心理的負荷評価表」(別表1)に

「カスタマーハラスメント」が具体的出来事の一例として追加された

カスタマーハラスメントと企業責任

カスハラ被害を会社に相談しても、会社側が適切な対応をとらず精神障害を発症したら、企業責任を問われる可能性

・労働契約法第5条「安全配慮義務」の観点からも、会社側は、労働者の安全に配慮する義務がある

・パワハラ防止法に基づく指針(先述)

カスタマーハラスメントが労災認定された事例

これまでは、介護施設の利用者から暴言を吐かれて精神障害を発症した従業員を、パワハラの基準に照らし合わせて労災認定したケースはある

2023年11月、土産物で著名な物販店従業員がカスハラで自死した件を労災不認定としたのは不当として、遺族が国を訴えた事案も(事件は2018年で今の労災認定基準になる前)

問題解決に向けて

基本的には法令などに沿って話し合いで解決すべき問題という点では、退職に関する問題と同じです。いわゆる民事ということになります。また、パワハラを含むハラスメントに関する相談体制の整備をすることが会社としての義務となったため、勤務先の指定された窓口に相談することも1つの手段ですし、実際にそれで解決されたということもあります。

行政としての相談窓口は、労働局内にある「総合労働相談コーナー」ということになります。

とることのできる手段としては、以下の手段が考えられます。

1 助言・指導(総合労働相談コーナーが窓口)会社に口頭指導などを行政側が行うものです
2 あっせん(総合労働相談コーナーが窓口)一種の和解交渉を行うものです
3 労働審判 あっせんと民事訴訟の中間的存在 調停に近いものです。窓口は裁判所となります。
4 民事訴訟 「パワハラを訴える」というのは、この裁判を起こすということを指します
5 1~4を経ないで直接勤務先等へ損害賠償請求 


また、もし例えばパワハラが原因でココロの病になり休職することになった場合、労災請求、さらには障害年金請求ができる場合もあります。(当サイトの労災保険、障害年金のページをご覧ください)

行政を頼るべき労働問題

行政を頼るべき労働問題として、労働基準法など労働基準監督署(厚生労働省の一機関、略して労基署:労働に関する役所の1つであり相談窓口でもある)が担当する、法違反の疑いがある内容を挙げることができます。法違反の内容の中には労働基準監督官が司法警察員として逮捕などの権限を行使することが可能な内容も含まれており、その権限を背景として、労働基準監督官が問題企業に対して指導や監督を行うことが可能だからです。

1)残業代を払ってくれない

最近の残業代に関する相談で目立つのは「固定残業(定額残業、みなし残業ともいう)代制」や「管理監督者」のケースです。固定残業代制の場合、基本給の中に含まれているという会社側の主張になりますし、管理監督者の場合、残業代という概念がそもそも存在しないのだから払う必要はないという使用者側の主張がよくされます。

実際、問題がある場合とない場合があります。ただし、固定残業代制だからそれ以上残業代を支払う必要は全くない、管理職だから時間外労働はありえない、どちらの考え方も適切とはいえません。
また依然として、上記のような条件など採用していない標準的な労働条件の社員が、全く残業代を受け取っていないケースも数多く存在します。

問題解決に向けて

単純な残業代未払いのケースは、労働基準監督署に相談(申告)などすれば、そこから解決されることも多いです。しかし、固定残業代制など契約内容が複雑な場合は、行政が法違反かそうでないか直ちに判断しないこともあり、その場合はいわゆる民事として、話し合いによる解決と同じ手法で解決をはかっていくことになります。

【参考】残業代(割増賃金)にまつわる知識

◆割増賃金とは、正式な用語としては「割増賃金」
割増賃金にはいわゆる残業代(時間外労働に対する手当)のほか、深夜労働に対する手当、休日労働に対する手当がある

◆時間外労働とは、法的には、法定労働時間外の労働のことを指す
1日あたり8時間、週あたり40時間を超えた分、割増率は1.25
※時間外労働が60時間を超えた分は1.5

仮に会社が定めた所定労働時間が7時間であれば、7→8時間の1時間分は、法的な意味では時間外労働ではない(所定労働時間外労働、法内残と表現したりする)
一方、8時間を超えた分を「法外残」という表現をつかうことも

例えば週休2日制の会社の場合(土休日が休みとする)

その休日の1日だけ出勤した場合は、あくまで法的には単なる「時間外労働」扱いそれも、週40時間を超えるまでは時間外労働ですらない
【例】所定1日7時間の会社
月~金:1日7時間就労(残業なし)であれば、土に出勤しても5時間までは割増賃金の支払いは法的には不要(1.0倍の賃金は必要)

◆深夜労働に対する手当とは
22時から翌朝5時まで
通常の賃金に加え割増率は0.25の割増賃金を支払う必要
※時給制であれば通常時給の1.25倍となる
時間外労働+深夜労働=1.5となる

◆休日労働に対する手当とは

世間的な意味の休日ではなく「法定休日」(週に1回最低必要、月4日(4週4日)最低必要な休日のこと)に労働させた場合割増率は1.35の割増賃金を支払う必要
※時間外労働とは別枠になるので、仮に1日10時間働いても、8時間超分が1.35+0.25という考え方にはならないが、休日労働+深夜労働=1.6となる

◆時間計算について

時間計算は1分単位とされる→1分でも残業代が発生することになる
ただし、その1分単位で日々計算していき、月あたりの合計時間を、30分未満切り捨て、30分以上切り上げ(→1時間とする)という計算方法は認められている

◆週40時間の例外(週44時間)
週44時間まで法定労働時間内と認められる業種がある(加えて1事業場あたり10人未満である必要)

商業卸売業 小売業 理美容業 倉庫業等
映画・演劇業映画の映写 演劇 その他興業
保健衛生業病院 診療所 社会福祉施設等
接客娯楽業旅館 飲食店 ゴルフ場 公園・遊園地 その他の接客業

◆割増賃金の元となる賃金(算定基礎)
賃金=割増賃金の元ではなく除外できるものもある
家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金(結婚手当等)・賞与など
限定列挙といい、上記にある手当以外はすべて算入

※通勤手当:非課税・割増賃金の計算基礎に含まず、でも「賃金」であり、「標準報酬月額」にも含まれる

◆1時間あたりの単価の出し方

割増賃金の計算は、まず1時間あたりの単価を出すところから
【日給】1週間における1日平均所定労働時間数で割った金額
【週給】4週間における1週平均所定労働時間数で割った金額
【月給】1年間における1か月平均所定労働時間数で割った金額
 ①1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12=1 か月の平均所定労働時間
 ②月給÷1 か月の平均所定労働時間=1 時間あたりの賃金額

【例】250日×8時間/日÷12=166+2/3(300000÷166+2/3)=1800円(※四捨五入)

◆代休と振休

【代休】
所定休日等に時間外労働等させたもの
1.25-1.0=0.25は残り、要・支払

【振休(振替休日)】
事前に、所定休日を別の日に振り替えたもの
よって、当日はもともと所定労働日(出勤日)となり、割増は発生しない

2)長時間労働(過重労働)

2019年に改正労働基準法が適用される前は、いわゆる三六協定さえ結んでいれば、時間外労働は必ず上限何時間までという明確な決まりはありませんでした(努力目標のようなものはありました)。

 現在は、原則月45時間・年360時間までという時間外労働時間の上限が初めて明確に法律に定められ、それを超えた場合は原則労働基準法違反(罰則あり)となりました。(ただし例外は数多くあり、特別な取り決めをした場合は上限が上がりますし(特別条項)、一部業種(建設、医師など)については、この労働時間に関する新ルールの適用が2024年まで猶予されています。)

 また、この長時間労働は過労死の主な原因でもあり、労働基準法とあわせて改正された労働安全衛生法においても、労働者の健康と安全を守るために、特に労働時間に関してさまざまな規定が整備・強化されています。

問題解決に向けて

労働基準法(もしくは労働安全衛生法)違反の可能性があり、労基署に相談(申告)などすれば、そこから解決される場合もあります。

【参考】労働時間とは

労働法上の「労働時間」とは

例えば、労働基準法には、労働時間の項はあるが、労働時間の定義がズバリ載っているわけではない
よって、最高裁判決が事実上の定義となっている

労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」(三菱重工長崎造船事件

そして、この判例を実務におとしたものが、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。 労働時間に該当するか否かは、労働契約や就業規則、労働協約等などの定めによって決められるものではなく労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること。また、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること。

では、「指揮命令下」に置かれている時間とは?

①使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間

②使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)

③参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時

◆労働時間と判断された例

作業着への着替えが義務付けられている場合の着替え時間(三菱重工長崎造船所事件)
警備員の仮眠時間(大星ビル管理事件)

会社側に義務付けられている鉄道会社の駅員が行う始業前点呼、退社前点呼の時間
始業時刻前に制服の着用および朝礼出席が会社側に義務付けられている場合
観光バス運転手の出庫前・帰庫後の時間、目的地での駐停車時間

◆労働時間と判断されなかった例

会社の敷地に入った時点から更衣室までの移動時間(三菱重工長崎造船所事件)
いわゆるオンコール(自宅待機)時間(裁判例多数)

◆その他の「労働時間」

【研修時間】

実質的に参加が強制されているか否かで判断される。実質的にというのは、研修を受けないと叱責されたり、研修内容が業務との関連性が強く、参加しないと業務に支障が生じる場合を指す

【移動時間】

出勤後に事務所と取引先との往復に要する移動時間、取引先から次の取引先への移動時間は、その移動時間が会社のスケジュールに組み込まれている場合や、移動中も貴重品の運搬等で十分な注意義務を負わされている場合は使用者の指揮命令下にあると評価され、労働時間となる。

一方、直行直帰に要する時間は労働時間ではない(通勤時間とみなされる)

3)労働者性の問題

労働基準法上の「労働者」、労働組合法上の「労働者」など法律によって定義が少しずつ異なる

⇒労働基準法より労働組合法の方が「労働者」の範囲が広い

労働基準法第9条

第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

形式上は業務委託契約など、あくまで個人事業主として契約している場合でも、実質的には、契約先に雇用されていることと同等であるケースがしばしば見られます。こうした場合は、形式上は「労働者」でなくても、「労働者」として扱われ、労働各法の適用を受け労働者保護の対象となる場合があります。

労働者性の判断基準

1と2を総合的に勘案することで、個別具体的に判断

1 使用従属性に関する判断基準

(1)指揮監督下の労働
①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無、
②業務遂行上の指揮監督の有無、
③拘束性の有無、④代替性の有無
(2)報酬の労務対償性

2 労働者性の判断を補強する要素

(1)事業者性の有無 ①機械、器具の負担関係、②報酬の額
(2)専属性の程度
(3)その他

労働者性の判断は、形式より実態

形式的に、契約が業務委託契約や請負契約だったとしても、その要素のみで「労働者」か否かが判断されるわけではない。あくまで実態をみて判断される。

窓口としては、労働基準監督署になります。
ただし、あくまで両者間の契約上の問題ともいえるため、労働基準監督署が踏み込んだ判断を下さない場合も多いです。その場合は、結局民事上の紛争ということになります。

4)年次有給休暇(有休・年休)

年次有給休暇の法的位置づけ

【根拠】
労働基準法第39条
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

罰則もある規定だが、その適用のハードルは高く、現実的に摘発されたケースは基本ない

労働基準法第136条
第百三十六条 使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

という規定もあるが罰則はなく、ゆえに単なる訓示規定であるという司法判断まで出されている

年次有給休暇をとりまく主なルール(フルタイムのケース)

1入社後6か月間、8割以上の出勤率であれば、10日間付与
 以降1年ごとに1~2日ごと増えていき、6年6か月後のタイミングで20日(最大)となる

勤続年数6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
日数10日11日12日14日16日18日20日

<パートタイマー(短時間労働者)の場合>

◆週所定労働時間30時間未満&所定労働日数週4日以下or年間216日以下の場合

6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
週4日7日8日9日10日12日13日15日
週3日5日6日6日8日9日10日11日
週2日3日4日4日5日6日6日7日
週1日1日2日2日2日3日3日3日

◆週4日:年169~216日 週3日:年121~168日 週2日:年73~120日   週1日:年48~72日

<留意点>

①あくまで日数で決まるため、1日あたりの所定労働時間は無関係。1日1時間であっても8時間であっても、付与日数は同じ。ちなみに、出勤率8割以上の定義についても、1日少しでも出勤すれば「出勤した」とカウントされる

②年10日以上(週3・4日の一部)付与される場合→最低5日以上取らせる義務が会社側に生じるのはフルタイム労働者の場合と同じ

2会社側は10日以上有休のある社員については、必ず最低5日間は有休をとらせる義務がある
3労使協定など結んでおけば、5日間を除き、有休の取得日を指定することは可能

 ※上記②の義務も果たされることになる
 20日ある社員の有休のうち15日指定してもよい

◆1日に満たない年次有給休暇

半日年休:可能 会社側の同意のみ必要
時間単位年休:可能(ただし年に5日間まで)労使協定の締結が必要

◆時季変更権

本来、有休は「いつ」取ろうが、「何のために」取ろうが、労働者側の自由
ただし、時季変更権と呼ばれる会社側に認められた権利があり、「事業の正常な運営を妨げる場合」は、社員の希望する日に付与しなくてもよいことになっている(裁判例多数あり)

◆年次有給休暇の時効

付与から2年とされる

ちなみに、古い時期に付与された分から消化していくというのが通説だが、明確な規定はないため、違う説もある(新しく付与された分から消化していく→ただし、これだと時効による消滅の可能性が高まる)

◆出勤率

8割の定義⇒1日1時間でも出勤すれば、遅刻・早退しても、

出勤率計算における「出勤」に加えてよい

ほか実際出勤していなくても「出勤率」にカウントするもの

業務上傷病による休業
産前産後休業
育児・介護休業
年休取得日
など

②有休買い上げは可能か

原則として、買い上げることはできない
※学説としては、退職が決まっていて、明らかに余る有休については、買い上げやむなしという説はある

③所定労働日数が変更した場合、いつ時点の内容で年休の付与日数は決まるのか

あくまで6か月後、1年6か月後といった「基準日」の労働契約の内容で決まる

【例】
最初の6か月⇒週3日で半年を期に週4日になるというのであれば、週4日に対応する年次有給休暇が付与される
(つまり、5日ではなく7日付与)※その逆もしかり


申告とは

労働基準法第104条に規定があります(労働安全衛生法にも同種の規定あり)。
「労働者は、労働基準法に違反する事実がある場合はその事実を「申告」することができる」
労基署は「申告」を受けたら必ず対応しなければならないという決まりではありませんが、現実的には何らかの対応をしています。この「申告」をきっかけに立入検査が行われ、その結果として法違反が明確になり問題解決に至ることも多く、きわめて有効な手段といえます。

その他の会社側との問題

会社との間には、ほかにもパワハラ以外のハラスメント(セクハラ、マタハラなど)、有休がとれない、予告なく給料が下げられた、労働者側の都合を全く考えない転勤命令など数多くの問題が起こります。ここではごく一部しかご案内できませんでしたが、働くうえでお困りのことがあれば、一度ご相談ください。

サポート内容

労働相談ゲートウェイでは、以下のサポートを行っております。

1)あっせん代理

裁判をすれば時間も費用もかかりますが、「あっせん」自体は無料ですし早く結論が出ますので、すみやかに問題を終わらせたい方に特におススメです。このあっせん代理を行っております。なお「あっせん」については、このページ内でご案内しております。

2)助言・指導などの申出サポート

「あっせん」を申し込む前に、行政(労働局)から会社に対して、事情を聴いたうえで解決の方向を示す「助言」「指導」と呼ばれる仕組みがあります。その活用のため行政への相談前からサポートいたします。

3)面談・手続きへの同行(つきそい)

①同行(つきそい)

労働問題では、労働局、労働基準監督署、ハローワークなどに足を運び相談しなければならないこともあると思いますが、ほとんどの方にとって初めてのことでしょう。その際専門家がサポートすれば、スムーズに行政側に対してお客さまのご相談内容をお伝えすることができ問題解決をはかりやすくなります。そのサポートを行っておりますす。
また、どのような参考資料を提出するかも重要なポイントです。そうした資料の準備も行っております。

②「申告」のサポート

まず、「申告」を労働基準監督署に受け付けていただく必要があります。そのためには、労働基準法などに違反している事実を証明できる証拠書類を求められる場合があります。その準備のためには、一定以上の知識と経験のある専門家でないと難しいこともあります。こうした準備作業などのサポートをいたします。

4)その他のサポート

①内容証明郵便作成代行

働くことにまつわる労働問題では、例えば退職したいといった自分の意思をはっきりと相手方に伝える必要があることが多いです。さらに、はっきりと自分の意思を先方に伝えた証拠とするためにも「内容証明郵便」という手段を用いることがきわめて有効です。当サイトは行政書士が運営しておりますので、内容証明郵便作成の代行を承ることができます。

その他、会社側との問題にまつわることでしたら一度ご相談ください。

5 サポートの流れ
(労働局あっせん代理の場合)

STEP
お問合せ・ご相談

お問合せ・ご相談方法はTOPページをご覧ください。なおご相談は初回無料です(50分程度)。

STEP
詳しく状況をヒアリング

(正式にご契約後に)状況を詳しくうかがい、要点を整理していきます。
とても重要な作業となります。

STEP
行政側と調整

うかがった内容が「あっせん」に合う内容か確認します。

STEP
あっせん申請書類作成

STEP2で整理した内容をもとに作成していきます。

STEP
あっせん申請

提出先は、労働局もしくは最寄りの総合労働相談コーナーです。

STEP
(必要な場合)事前協議

相手方とあっせん前に話し合いをする場合があります。
(それで事実上解決することも・・・)

STEP
あっせん

お客さまの出席、欠席はお選びいただけます。

STEP
あっせん成立の場合の諸手続き

合意文書の作成やアフターフォローをいたします。

6 サポート料金(税込表示)

ご依頼内容によっては事前相談のうえ変更の場合があります。また載っていないサポートについてはご相談ください。
原則成功報酬制です。不成功の際はかかった郵送代、必要書類取得手数料など実費分のみご負担ください。

スクロールできます
ご依頼内容                 料金                    備考
あっせん代理
(すべての内容を依頼された場合)
解決額の20%
(最低額として5万円申し受けます)
着手金はいただきませんが、預り金を3~5万円程度お預かりいたします
助言・指導などの申出サポート解決額の20%
(最低額として3万円申し受けます)
着手金はいただきませんが、預り金を3~5万円程度お預かりいたします
面談や手続きへの同行
(つきそい)
相談により決定場所・サポート内容にもよるため、ご相談ください
申告に向けたサポート3万円~
内容証明郵便の作成代行1万円~1通あたり
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