スポットワーク(スキマバイト)裁判

スポットワークをめぐりある裁判がおこされました。
スポットワークとは、スキマバイトとも呼ばれるアルバイトで、自分の働きたいタイミングに合わせて短時間・単発の就労を内容とする雇用契約のもとで働くことをいいます。
便利といえば便利なサービスではありますが、一方で問題点も生じていました。会社側が余裕をもって人を押さえておくが、実際の需要に合わせて余った分、人を調整する(切る)ことが横行しています。キャンセル率10%を超えるという見方もあるそうです。

そこで、この度、企業側に直前キャンセルされた大学生が、キャンセルに伴う賃金の支払いを求めて提訴しました。直前キャンセルに関連した訴訟が明らかになるのは初めて。
2025年5,6月、タイミーを利用し、飲食店にそれぞれ単発で5時間の求人に申し込みマッチングが成立。しかし勤務日の前日になってタイミーを通じて仕事がキャンセルされました。

原告側の主張は、マッチング時点で労働契約が成立したとするのが実態に即して合理的。雇用契約は出勤時にQRコードを読み込むことで締結(タイミー)としていることについて、意図的に休業手当を支払わないようにでき、労基法に反して無効だ。キャンセルは、雇い主側による違法な解雇に当たる
といったもの。
ちなみにタイミー側は、アプリは、現地で労働契約が成立する前提で利用してもらっているとのこと。

企業側・スポットワーク事業者の主張としては、労働契約は、はじめて就業開始直前に結ばれる。就業開始前の採用キャンセルは、労働契約を結ぶ前のため、休業手当の支払いの対象外という解釈。

こうした状況を受け、2025年7月、厚生労働省の方から見解が示されました。「先着順求人にスポットワーカーが応募した時点で労働契約が成立するものと考えられる」といった内容でした。

ご参考までに、一般的な労働契約の場合
内々定→必ずしも労働契約成立ではない
内定 →労働契約成立
というのが通例ですので、この例からすれば、厚生労働省の見解は当然といえます。

この見解を受けて、主なスポットワーク事業者は、9月から規約を見直しました。スポットワーク(スキマバイト)にて9月より休業補償が出ることもあるようになりました。

ちなみに、スポットワーク事業者側の見解は他にもありまして、
24時間前までなら解約可能とした
天災によらない営業の中止
大幅な仕事量の変化にともなう募集人員の変更
日時など求人情報に掲載ミス

ただし、この解約理由を疑問視する声もあります。
「使用者の一方的都合なのになぜキャンセル可能なのか」

今後の裁判の行く末が注目されます。
そもそも未払い賃金の額は14000円、和解ではなく司法判断を求めるねらいがあると思いますので、今後のスポットワーク界隈の行く末も左右する裁判となるでしょう。

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