はじめに
「来月で契約終了です。」
突然そう言われ、頭が真っ白になる――。
非正規や契約社員の方から、私は何度もこの言葉を聞いてきました。
でも、落ち着いてください。
雇止め(更新拒否)=即クビではありません。
ここで焦って何もせずに終わらせるか、
冷静に3つのステップを踏むかで、結果は大きく変わります。
第1のステップ:「労働条件通知書」を確認する
まず、今のあなたを守るのは“感情”ではなく“紙”です。
契約社員・パート・アルバイトなど、
有期契約で働いている人は、**「労働条件通知書」**がすべての基本。
確認すべき3点はこれです。
- 契約の期間と更新回数
→ 何回目の契約なのか? 3回以上更新している場合、更新期待が認められることがあります。 - 契約更新の有無の記載
→ 「原則更新」と書いてあるなら、突然の雇止めは不合理となります。 - 更新拒否の理由
→ 口頭ではなく、必ず文書で説明を求めてください。法的には、労働者側から求められた場合、文書による説明を拒否できません。
契約書を“読み直すこと”が、反撃ではなく整理の第一歩。
第2のステップ:「理由」を聞く――そして記録する
多くの人がここを飛ばしてしまいます。
でも、**「なぜ更新しないのか」**を確認することが極めて大切です。
会社が「業務縮小」「人員整理」「勤務態度」などと言う場合、
それが客観的かつ合理的でなければ、法的には無効の可能性があります。
そして、言われた内容は――
- メモを取る
- メール等記録の残る形で確認する
- 日付を残す
これらを必ず実行してください。
感情をぶつける必要はありません。
ただ、事実を残す。
それが後で「自分の言葉」を守ってくれます。
第3のステップ:外部の相談窓口につなぐ
「自分で何とかしよう」と抱え込むと、状況は悪化します。
ここで大切なのは、“第三者を入れる”勇気です。
代表的な相談先は3つ。
- 都道府県労働局の総合労働相談コーナー
→ 無料・非公開で助言・指導という制度の活用や、会社と話し合い(あっせん)ができます。 - 労働基準監督署
→ 未払い賃金・解雇予告手当の未払いが絡む場合に有効。 - 社会保険労務士(労働者側)
→ 書類整理や対応方針を一緒に考える伴走者。
“相談する”ことは“戦う”ことではありません。
“選択肢を増やす”ことです。
よくある誤解:「契約だから仕方ない」
「有期契約だから更新されなくても当然」と思い込む人が多いですが、
実際には、一定条件を満たせば“解雇と同じ”扱いになります。
たとえば――
- 長期間にわたり繰り返し更新されていた
- 上司から「次も更新」と言われていた
- にもかかわらず、突然「来月で終わり」と言われた
こうしたケースは、**“期待権の侵害”**として救済対象になる場合があります。
おわりに
雇止めは、“終わり”ではなく“確認の合図”。
この制度は、あなたを追い出すためではなく、
「納得できる形で労働契約を整理する」ためにあります。
焦らず、記録を残し、相談につなげる。
それだけで、状況は確実に動きます。
