厚生労働省審議会にて高市首相の労働時間規制緩和指示めぐり労使が議論

労働基準法の見直しを議論する厚生労働省の審議会「労働政策審議会」の労働条件分科会が開かれた。高市首相が「労働時間規制の緩和の検討」を指示してから初の会合となった。

資料をみる限り、直接の議題としては含まれていなかったように思うが、会合冒頭で労働側の労組代表が「過労死はなくなっていないどころか、労災の請求件数は増えている。政府は重く受け止めるべき」と主張。「過労死ラインぎりぎりの現行の上限規制の緩和を促すなど、働き方改革を逆行させることはあってはならない」と批判した。

一方、使用者側は首相の指示に前向きな評価を示し、裁量労働制の対象業務拡大の検討を要望した。
高市首相指示の背景には、
①     時間外労働に関する上限緩和
②     裁量労働制の拡大
③     高度プロフェッショナル制度の拡大
が念頭にあるとされている。

ポイントは、もう一つの代表である公益代表(主に学者)がどういうスタンスかということだ。
個人的には、①の上限緩和はすでにそれ自体が過労死ラインであるため相当厳しいと考える。ただ原則はそうであっても、自動車の運転業務など例外的な労働時間規制を設けている業種はあり、そこまでは緩和の余地はあると考える。
②③についてはもっと大いにありうる。裁量労働制の対象分野は少しずつ広がってきており、この辺りのさらなる拡大で、手打ちになる可能性は十分あると考えている。裁量労働制が長時間労働を助長するというのは、私が知る限り適切な見方だと考えており、企業側の負担も全く伴わないことからブレーキも働かず、際限ない長時間労働に追い込まれる人も増えていく懸念がある。

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